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「三井高利の先見性」

江戸に呉服店「越後屋」を三井高利が開いたのは、52歳過ぎてだったという。

当時の江戸の呉服店は、大名や豪商の身分の上のお客を相手にしていた。そのビジネスモデルは、呉服商の商人が、直接見本の呉服をもって豪邸にうかがい、注文を聞いてから、後日ニーズの合った呉服をお届けするというスタイルであった。新参者が、そのビジネスモデルに入り込む隙間はまったくなかった。先発の呉服商が、上得意の大名や豪商をお客としておさえており、三井高利「越後屋」の入り隙間はまったくなかったのである。

しかし三井高利は、その既存の商売の可能性の隙間がなかったからこそ、逆に新たなビジネスチャンスを見出せたのである。それを先見性と呼ぶ。当時まだ庶民は、呉服の購買層としてはまったく考えられていなかった。元禄の好景気という背景があったとはいえ、庶民を購買層にするという発想は、三井高利であるからこその発想といえる。ビジネスモデルを根本から変え、庶民でも買える呉服の値段を設定し、そのコスト減を捻出するために、店頭の店で直接売るという発案をするわけである。大量の呉服を「安く、多くの人に売る」という発想は、現在まで生き続けている基本的なビジネスモデルである。いままでずっと続いているビジネスモデルでしっかり根付いているいているということは、いかに画期的なパラダイムチェンジだったといえる。まさに商売の大変革であった。

大胆でかつ多くの人が求めていた発想であり、発想した後、その発想を実現すべくプロセスを考えるという、三井高利のまさに先見性であった。その後、呉服だけでなく、すべての流通変革がおこり、商売の基本テーゼとまでなってしまうほどの、その先見性に、三井高利の偉大さがあらためて認識される。

著:佐藤 創紀 →https://www.gdl-j.co.jp/archives/001031.html


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