「困難だからやらないのではない。やらないから困難なのだ」~セネカの言葉に学ぶ、行動する人が成長する理由~
古代ローマの哲学者セネカの言葉として知られるこの一節には、仕事や人生における「行動」の大切さを示しており、私たちは何か新しいことに挑戦するとき、
- 「難しそうだからやめておこう」
- 「自分にはまだ早い」
- 「失敗したら恥ずかしい」
と考えてしまうことがあります。
慎重に判断することは大切です。
しかし、実際には「難しいから行動できない」のではなく、行動しないからこそ、そのことがいつまでも難しいまま残っているケースも少なくありません。
仕事においても同じです。
最初はできなかったことでも、実際にやってみることで少しずつ理解が深まり、経験が積み重なり、やがて当たり前にできるようになります。
成長する人と、なかなか成長できない人の違いは、能力そのものよりも、まず一歩を踏み出せるかどうかにあるのかもしれません。
「できるようになってからやる」ではいつまでも始まらない
新しい仕事を任されたときもう少し知識をつけてから挑戦したいと考える人は多いでしょう。
しかし、仕事ではすべてを理解してから始められる場面ばかりではありません。
- 「やってみて分からないことに気づく」
- 「失敗して改善点を知る」
- 「経験しながら覚える」
という順番で成長することの方が多いものです。
例えば、初めて人前でプレゼンテーションをする場合を考えてみます。
最初から完璧に話せる人はほとんどいません。
緊張したり、時間配分を間違えたり、質問にうまく答えられなかったりすることもあります。
しかし、一度経験すれば、
- 「ここは説明を短くした方がいい」
- 「この質問は事前に準備しておこう」
と具体的な改善点が見えてきます。
二回目、三回目と経験を積むうちに、最初に感じていた「難しさ」は徐々に小さくなっていきます。
つまり、難しさを減らす最も確実な方法の一つは、実際に経験することなのです。
行動しないと「不安」だけが大きくなる
人は経験したことのないものに対して、不安を感じやすいものです。
そして、行動しないまま考え続けていると、
- 「失敗したらどうしよう」
- 「自分には無理かもしれない」
- 「もっと大変なことになるかもしれない」
と、実際以上に困難を大きく想像してしまうことがあります。
しかし、実際に取り組んでみると、「思っていたほど難しくなかった」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
行動することで、漠然とした不安が具体的な課題に変わります。
例えば、「できるか分からない」という状態から、「この部分だけ分からない」という状態になります。
ここまでくれば、上司に聞いたり、調べたり、練習したりすることができます。
行動には、漠然とした不安を具体的な問題へ変える力があります。
成長する人は「失敗しない人」ではない
仕事ができる人を見ると、「最初から何でもできたのではないか」と思ってしまうことがあります。
しかし、多くの場合そうではありません。
仕事ができる人も、
- 判断を間違える
- 上司に注意される
- 顧客から厳しい意見を受ける
- 思ったような成果が出ない
といった経験をしています。
違いがあるとすれば、失敗そのものではなく、その後の行動です。
失敗したときに、「自分には向いていない」と諦めるのか。それとも、「次はどうすればいいのか」と考えてもう一度挑戦するのか。
この積み重ねが、数年後には大きな差となって表れます。
「やらない理由」はいくらでも見つかる
人間は、やらない理由を考えることが得意です。
- 「忙しいから」
- 「時間がないから」
- 「まだ準備ができていないから」
- 「今はタイミングが悪いから」
もちろん、本当に今やるべきではないこともあります。
しかし、その理由が毎回繰り返されているのであれば、一度立ち止まって考えてみる必要があります。
本当に難しいからやらないのか。それとも、失敗したくないから「難しい」という理由をつけているのか。
ここを区別することは、自分自身の成長を考えるうえで重要です。
小さく始める
「行動することが大切」と言われても、大きな挑戦を突然始める必要はありません。
むしろ、重要なのは小さく始めることです。
例えば、
- 新しい資格を取りたいのであれば、まず参考書を10ページ読む
- 営業力を高めたいのであれば、まず先輩の商談に一度同行する <
- プレゼンが苦手なのであれば、まず社内の小さな会議で説明役を担当する
こうした小さな行動でも、一歩を踏み出したことに変わりはありません。
そして一度動き始めると、次に何をすればよいのかが見えてきます。
部下育成にも
この考え方は、自分自身の成長だけではなく、部下育成にも当てはまります。
管理職が、「まだこの社員には早い」と考えて仕事を任せなければ、本人はいつまでも経験を積むことができません。
もちろん、いきなり大きな責任を任せる必要はありません。
しかし、
- 少し難しい仕事を任せる
- 必要なときにフォローする
- 失敗したら一緒に振り返る
という経験を積ませることで、人は成長していきます。
仕事を任せないことは、短期的には失敗を防ぐことができます。
しかし長期的には、成長する機会まで奪ってしまう可能性があります。
まとめ
「困難だからやらないのではない。やらないから困難なのだ」
この言葉が教えてくれるのは、困難をなくしてから行動するのではなく、行動することで困難を小さくしていくという考え方です。
最初から自信がある必要はありません。
最初から上手にできる必要もありません。
大切なのは、
- まずやってみる
- 失敗から学ぶ
- 少しずつ改善する
ということです。
仕事でも人生でも、経験したことのないことは誰にとっても難しく感じます。
しかし、一歩踏み出せば、その難しさは少しずつ変わっていきます。
成長する人とは、特別な才能を持った人ではなく、「できるようになってから始める人」ではなく、「始めながらできるようになる人」なのかもしれません。
文責:田辺顕
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