大手銀行「プロ人材」確保・育成に進む
近年、金融業界を中心に高度な専門性を持つ「プロ人材」の確保と育成が重要なテーマとなっています。特に、大手銀行各社は専門スキルを有する人材を積極的に登用・育成するため、処遇改善や人事制度の刷新に動き出しています。今回は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループの取り組みを参考に、「プロ人材」活用のヒントをお伝えします。
専門スキルを評価する仕組みづくり
三菱UFJ FGは富裕層向けビジネスやデジタル分野での専門性を評価し、プロ人材を約2割増員予定。三井住友FGやみずほFGも特定のスキルに対して専門性手当や給与テーブルを設定し、報酬体系を明確にしています。これにより、優秀な人材の流出を防ぐ狙いもあります。
キャリア形成支援と研修投資の強化
プロ人材には、職務領域を超えた異動を制限し、専門性を深めるキャリア形成をサポートしています。また三菱UFJ FGでは年間約30億円の研修費を投資し、社員一人あたり平均16万円の研修を実施。こうした投資が社員の専門性を継続的に向上させ、企業の競争力につながっています。
年功序列から能力重視へ──人事制度の見直しと施策の方向性
大手銀行が「プロ人材」の確保・育成を本格化させる中で、人事制度の再構築が急務となっています。従来の年功序列型の処遇制度では、若手や専門性の高い人材の意欲を引き出しづらく、組織全体の競争力にも限界が見えていました。
こうした背景から、多くの金融機関では以下のような施策を通じて、能力重視の人事制度へとシフトしています。
ジョブ型雇用の導入
職務内容を明確に定義し、それに見合ったスキルや成果に応じて報酬や昇進を決定する制度に移行。これにより、ポストや年齢に依存せず、専門性や実績が評価される仕組みが整えられています。
成果・スキル評価制度の再設計
年次評価から脱却し、業績や専門性、リーダーシップなどを多面的に評価する仕組みへと刷新。評価基準の透明性を高めることで、社員の納得感と成長意欲を促進しています。
職務別研修とキャリアパスの明確化
銀行業務の多様化に伴い、ITやリスク管理、国際業務などの専門分野ごとに育成プログラムを整備。個人のキャリア志向に応じた育成と配置が可能となり、「プロ人材」の定着と活躍を後押しします。
社内副業や越境学習の推進
他部署での業務経験や、外部との協働プロジェクトへの参加を通じて、個人の視野を広げ、柔軟な人材を育成。年功ではなく、実践的な成長機会が処遇に反映される仕組みを目指しています。
さらに、従来の年功序列制度を廃止し、能力や市場価値に応じた報酬体系を導入する動きも進んでいます。たとえば新卒採用でも一定期間の経験後に「プロ人材」へと昇格可能とし、早ければ入社3年目で年収1,000万円以上を得ることも可能な制度を設ける企業も登場。優秀な若手の獲得・定着を狙った積極的な制度設計が広がりを見せています。
このように、「能力に応じた評価と成長機会の提供」を軸に据えた制度改革により、大手銀行は変化の激しい時代に対応できる人材基盤を築こうとしています。
まとめ
「プロ人材」の確保・育成は、単なる人材獲得競争ではなく、明確な評価基準や処遇改善、制度改革など人事戦略全体の刷新が鍵となります。貴社においても、自社の競争力を高めるために専門性を持つ社員への支援や育成方法を見直してみてはいかがでしょうか。
文責:田辺顕
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