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「辞めた理由」が本当は語られていない問題 ~退職理由がブラックボックス化する組織のリスク~

近年、「円満退職」や「退職代行サービス」といったニュースが話題になる中で、人事の現場ではある別の問題が静かに進行しています。

それは、退職者が本当の理由を語らないまま会社を去るケースが増えているという点です。

表面的にはトラブルなく退職しているように見えても、その裏側では組織にとって重要なサインが見逃されている可能性があります。

表に出てくる退職理由は「建前」であることが多い

退職時に挙げられる理由として、次のような言葉はよく聞かれます。

これらが事実である場合もありますが、実際には本音を伏せたままの"無難な理由"であることも少なくありません。

こうした本音は、在職中も退職時も語られないまま終わるケースが増えています。

なぜ本当の理由は語られなくなったのか

退職理由がブラックボックス化している背景には、いくつかの複雑な要因が絡み合っています。表面的には「一身上の都合」とまとめられることが多いものの、実際にはもっと深い心理や職場の構造的な問題が存在しています。

1. 波風を立てずに辞めたいという心理

近年、職場でのハラスメントや評価に対する敏感さが高まる中で、退職時に余計なトラブルを避けたいと考える若者が増えています。「本当の理由を話すことで、退職日までの空気が悪くなったら嫌だ」「最後くらい穏やかに終わりたい」といった思いから、あえて本音を伏せて静かに去る選択をする人も少なくありません。これは、自身の心の安定や今後のキャリアへの影響を最小限に抑えたいという、ある意味で自己防衛的な判断でもあります。

2. 話しても変わらないという諦め

過去に上司や人事へ意見を伝えた経験があるにもかかわらず、職場環境が改善されなかったという失望感が、「どうせ言っても無駄」という諦めにつながっています。「自分が辞めることで会社が変わるとは思えない」「改善の意思がない会社に期待しても仕方がない」といった冷めた認識が、本音を語らない姿勢を助長しています。特に大企業や縦割りの組織では、声が届かないことが常態化しているケースもあります。

3. 人事や上司への遠慮

人間関係を壊したくない、あるいは今後どこかで再び関わるかもしれないという思いから、退職時に本音を控えるというケースも多く見られます。特に日本の職場文化では、「和を乱さない」ことが美徳とされる傾向があり、最後に角を立てたくないという心理が働きます。たとえ職場に不満があったとしても、円満退職を演出することで"穏やかな別れ"を選ぶのです。

本音が見えないことによる組織リスク

退職理由が把握できない状態が続くと、組織には次のようなリスクが生じます。

これは単なる離職問題ではなく、組織の健全性が可視化できていない状態とも言えます。

人事が向き合うべき視点とは

重要なのは、退職時だけで理由を聞こうとしないことです。

本音は、辞めると決めた後ではなく、在職中の関係性や仕組みの中でしか見えてきません。

こうした日常的な対話や仕組みがなければ、退職理由は最後まで見えないままになります。

退職理由を「結果」ではなく「兆候」として捉える

退職は突然起きるものではなく、必ず前兆があります。

評価への違和感、成長実感の欠如、関係性の歪みなど、それらが積み重なった結果が「退職」です。

だからこそ人事には、辞めた理由を集めることよりも、辞める前の声を拾う仕組みが求められています。

退職理由が語られない時代だからこそ、組織は「見えない声」にどう向き合うかを問われているのではないでしょうか。

文責:田辺顕

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