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業績改善、人材革新をもたらす人事管理制度のチェックポイント

1.経営者(自分自身)の個性を知る

経営者の個性に合わない制度は上手くいかない

自分自身の個性と将来的な改善強化の方向性に立脚した人事制度を

指示命令型のリーダーが、コミュニケーション重視型人事をすぐに行うことは困難。しかし、変革の必要を感じているのなら、「味付け」として入れておく。
「きちんとしたこと」が好きなリーダーは、「きちんとした」人事を。しかし「きちんとする」ことの限界を知って、また自分は管理職以上に「きちんと運用する」つもりで 。
2.エンパワーメント(権限委譲と教育、サポート)を

権限委譲

人事考課の最終決定権(金額は会社全体の問題だから別)
個人目標の最終決定権
責任(説明責任と結果責任)たとえば、その部門の業績等

教育

考課者訓練、目標管理訓練は徹底的に

サポート

一般社員研修の強化 例:被考課者訓練(意見の言い方など...)
社内・社外の専門コーチやファシリテーター(会議の促進者)をつける
3.なぜコーチングなのか(個を生かす企業へ⇒コーチ型へ)

マネジメントには構造変化が起こっている

現在 今後
管理職が把握可能な世界
(少品種・大量販売)
管理職がすべてを把握できない世界
(多品種・少量販売)
上が下を教える
(Teaching&Training)
「答え」を引き出すためのコーチング
(Coaching)
知識を詰め込む 行動・意識をマネジメントする
(コンピテンシー)

ティーチングとコーチング ⇒ 「答えは相手の中にある」がコーチング

ティーチング コーチング
答え(情報)は、上司が持っている 答え(情報)は、部下の中にある
答えは鮮明(意識の上に) 答えは不鮮明(意識の下に)
いかに上手く教える(話す)か? いかに上手く引き出すか(聴く&気づかせる)
4.「仕事」をよく分析し、成果の上げられる人材を

仕事を成果から分析する ⇒ 何故か(Why)

プロセスは変わりやすいし、プロセス=成果とはなりにくい職種が増えているので、成果で仕事を規定していく
成果は、職務と人の存在意識を教えてくれる(プロセスは厳しい)
「成果を上げる人材」で固められればベター(良い人だけど... → 何人抱えても組織業績は上らない)

どのように(How To)

その仕事の成果は何か? 6つ程度で押さえる
数値化したり、固有の顧客名や製品名をいれずに(少し抽象的に)

成果が分かれば「成果をあげられる行動特性(コンピテンシー)」も把握できる。そのコンピテンシーが高い人を採用できる。

5.成果が意識されている仕事、意識されていない仕事
6.早期に着手し、じっくりと育てる
人事制度は「機械・ビル」ではない。庭園や庭木のようなもの、と考える
全体の景観、経営全体と「しっくりくる」ための養生が大切
人事制度の究極の目的は、経営戦略・理念を実現できるメンバーや組織風土づくりにある
人の行動パターンや認識パターン・価値観(考え方)が変わるためには、相当な時間が必要だから
7.共感できる「理念」「人事哲学」を明示する

総額人件費を適切に管理したいという経営管理上のニーズから、または世の趨勢だから、ということで「メンバーにとっての利益、効能」を打ち出せずにいるのではないか?

「理念」「人事哲学」の例

失敗を隠さず、学びあい、成長の糧とできる組織を
ポータブル・スキル(他社でも通用する能力)開発を支援する
「仕事から得られる喜び」を最大限に
顧客とともに成長する組織づくり
一人の力を皆のために、皆は一人のために one for all,all for one.
個性を尊重しあい、個性を生かしあう組織に向かって
「できる」「すべき」から「を残したい」という発想へ
自己実現を支援する
8.厳しさと優しさを兼ね備える

自分自身も含め、トップに行けば行くほど結果責任を → 何故か(Why)

とりうる手段(プロセス)の幅が広い(権限が豊富)
トップ自らが示せば、下もそれをならう

どのように(How To)

後継者候補を本心から願い、準備する(本気になる)
ブレの少ない中期計画を策定し、その結果で責任をとってもらう仕組みを作る(例:あらかじめ辞表を提出させておく)
「業績評価委員会」を開いて評価する(できれば外部も入れて)

「本当の優しさ」を!

社員の人格を認めつつ、業績確保・本人の応用能力(ポータブル・スキン)向上のためには、優しくかつ厳しい指導を
9.メンバーの個性を知る

個性に相応しくない人事制度は合わない

例:ドライバーや技術者系の「レポートが苦手な人達」にレポートが必須な人事制度は、過負荷や退職をもたらす
「きちんとする」ことが好きな集団に「エイや!」の人事制度では、フラストレーションを生む
10.現実と遊離しすぎていないか

組織風土、経営陣・管理職の力量、社員の適性・能力などを見極めているか。「すべき」「自分ならできる」だから「しよう。させよう」という発想に陥っていないか。リスクは考慮しているか。

例:人事考課のフィードバックは、社員の納得性を高めるためにどうしても必要。すべての結果をきちんと管理職は部下に伝えなさいと数年に渡って人事部が指導してきた。しかし実際にフィードバックしている組織は少数。
評価結果が、自分の知らないところで調整される。それを聞かれても困るから...という管理職も多い。結果的に、何のフィードバックもしない、ということになる。
評価した点、来期強化してほしい点、この2点をしっかりと話し合うところからまず始めよう、という現実的な指導が期待される。
目標をつくるなんて誰にでもできる。だから全員に目標をつくってもらおう。
まずは管理職から、というような現実的な対応策が大切。
11.「質問=教育」と考えて時間をとる

「指示する」 ⇒ 「その指示通り行う」 ⇒ だから指示を受けないと動かないメンバーが揃う、この悪循環を断ち切らないと、有能なメンバーは揃わない。

「質問する」→ 「考えて答える」 → これこそが21世紀型の教育。ティーチングからコーチングへ。

人事制度の中では「目標の候補は自分からリストアップさせる」「成果は自分から報告させる」

12.MBOからLBOへ

職場環境の分析・理解(主体的な姿勢) → 目標設定(上司とのキャッチボール) → アクション進捗管理 → 個人学習(組織学習へ) と繰り返していく

13.How To(手続き)よりもWhy(目的)を重視した教育

パンフレットの配布や導入説明会だけでは、充分にその真意、目的が伝わらないことが多い。結果として、漠然とした期待感や不安感を持って制度に取り組んでいる組織が多い。

「制度の目的が理解されていない組織で聞く声」

「目標を立てるのは人事考課をするためでしょう?」
「人事考課フィードバックは、社員の納得間を高めるため...」
「成果主義というのは、成果を出さないと組織が立ち行かないからなんでしょう」
「人事考課は処遇を決定するためですよね」
「360°評価は正しい評価ができる管理職がいないからなんでしょう」

「あらゆる機会を通じて、しつこく、何度も目的・理念を啓蒙していこう」

社内報、イントラネット、e-Learning、表彰制度、ワークアウト、マルチメディアに伝えていこう。目的・理念は理解できなくても、方法論が理解できれば形式的に制度は運用できる。だからこそ危険。
14.「仕事の喜び」を報酬と考える

「私の仕事は役に立っている」「何かを残せている」「成長できている」これが給与以外の報酬。給与は「動機付け要因」にはなりにくい(ハーズバーグ 動機付け衛生理論より)

15.マネジメント適性のある人材を確保する・育てる

マネジメント適性のある人を意識的に採用する

マネジメント適性を買って採用した人=マネジメントとは限らない
実務能力が、ほぼ同レベルなら、マネジメント能力がある人材の方を採用する
退職の可能性を見込んでおく(有能なマネジメントになってくれる人はリテンションも難しい)

マネジメントに育てていくためには

実務を持たせすぎない。実務のエキスパートが有能なマネジメントに化けることはまずない(行動パターン、思考パターンが変えられない)
早めに部下をマネジメントするポジション、PJを経験させる(極端に言うと卒業後3年目までには)
16.人事政策の効果を定量化しよう(アンケート)

「有能な人材の流出」「明らかなモラールの低下」「業績目標の連続未達成」という顕著な症状が出てからでは手遅れ。

組織の「年一度の健康診断」だと思って、従業員意識調査を!(顧客満足度調査、協力業者からの調査、360°調査などもあわせてできれば尚よし)

17.まとめ

経営者の志、自己変革が最大のポイント

「言葉遣い」に注意しよう
「うちは中小企業だから...」「所詮は...だから」「景気が低迷しているから」
裸の王様にならないように細心の注意を
直言してくれる人を大切に
「厳しい意見を受ける」その機会を自分で用意しよう。外部取締役も入った役員会など
「学び続ける姿勢」を経営者が示そう
たとえオーナー経営者でも、自ら説明責任を負おう(それが経営者としての成長を促進する)
18.学習する組織とは

アーリー・デ・シウス(ロイヤル・ダッチ・シェル企画部長)いわく

 ~競争相手より早く学べる能力。それが競争を維持する唯一の鍵である~

世界がますます緊密に結びつき、ビジネスがさらにダイナミックになるにつれ、仕事はラーニグフルになる。つまり学習を要する局面が増えるだろう。学習する人間(フォードやスローンやワトソンのような人物)が組織に一人いるだけでは、もはや足りない。トップの位置で事態を読み、他の皆がこの大戦略家の指示に従うというやり方では、とうてい対処不可能なのだ。これから本当の意味で抜きん出る組織は、あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を活かすすべを見出した組織となるだろう。

真の学習とは能力の拡大のことであり、必然的に喜びが伴います。従って、喜びがなかったとすれば、そこには学習がなかったといわざるを得ません。(ピーター・センジ「最強組織の法則より」)

文責:田辺和彦

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