人事管理ヒント集HUMAN RESOURCE MANAGEMENT HINT

コンピテンシーがなぜ注目されるのか?

1.コンピテンシー登場の背景

・人事管理全体が、プロセス指向から成果指向に(taskからperformanceへ)
・「知識・スキルの限界」を意識(高度の知識≠高い業績)
・コンピテンシーとは「ある職務で成果を上げるための思考・行動特性」
・米国コンサルタント会社のMacBar(コンサルタントのBoyatzis、McClelland、Spencerら)が1970年代から研究に取り組んだ

2.コンピテンシーの特徴

・全体の成果が上がる
・人種、年齢、学歴、男女に左右されない採用、昇進へ
・好業績を生む可能性を持った人を排除せずにすむ

3.コンピテンシーの限界

・好業績者が特定できない状況では推論で押さえて行くしかない
・研究が始まったばかりであり、知識・スキルと混同がある
・知識・スキルが相対的に軽視されがち
・単に能力要件をコンピテンシーと呼んでいるだけ・・・というケースも多い

4.BEI(行動インタビュー)とは

・過去の具体的行動事実を収集する
・コンピテンシーの保有状況を把握し、職種別人材像に近い人を採用、配置する
・ポリシーではなく具体的な行動事実を拾う
・ストーリーで追っていき、一人2時間程度
・高い行動特性を示す人は、良く行動している
・仮説を持って行動するから、良く覚えている

職種別コンピテンシー事例研究

1.業績の良い営業マンの「職務行動・意識」

・「達成思考」が強く、数字を常に意識している。ハングリーである
・「対人影響」が強く、話すのではなく、影響を与える
・第三者を使うなど影響を与える工夫をする
・「顧客思考」が強く、顧客からの質問事項を一生懸命に調べる

2.業績の悪い営業マンの「職務行動・意識」

・話好き。しかし成果よりも話すことを楽しみ、やたらと知識をひけらかす
・顧客の質問にきちんと対応しない(口先でごまかす、やる気がないとも言える)

3.成果の出る良い開発職の「職務行動・意識」

・「達成思考」が強く、障害や問題を乗り越える
・成果を執拗に追求する(アフター5テーマとして追求する)
・「分析的思考」が強い
・「対人影響」が強く、関係部署や上司、顧客の了解を得る事の重要性を意識している

4.成果の出にくい開発職の「職務行動・意識」

・考えることが大好き。研究室やパソコンの前から動かない(動きが遅い)
・成果よりもプロセスに関心があり、どういうソフトや手法、素材をつかったのか相手を納得させるのではなく、専門用語を多用して説き伏せ、結局は自分が楽しんでいる

5.業績の良いサービス職の「職務行動・意識」

・「対人影響」「対人理解」が強い
・再発防止、正しい使い方を教えてくる
・修理することだけに焦点をあてずに、顧客満足に焦点を当てる
・相手の欲していることを感じ取る能力が高い
・「分析的思考」が強い
・問題の原因をいち早く切り分けようとする(ハードの問題かソフトの問題か)

6.業績の悪いサービス職の「職務行動・意識」

・沢山の件数を黙々とこなすが、再発するかしないかは俺には関係ないといった態度

7.業績の良い事務職(アシスタント)の「職務行動・意識」

・「対人理解」が強く、担当者や顧客が欲していることに気づく
・「柔軟・スピード対応」が強く、特急の仕事にも適切に対応しようとする
・「品質正確性追求」が強く、ミスのないよう気を配る

8.業績の悪い事務職(アシスタント)の「職務行動・意識」

・仕事は速いように見えるが、実は重要なことを後回し、顧客や担当者からの依頼などを無視している
・アシストする相手よりも自分のペースで仕事を進めるお局さん

9.業績の良い技能職の「職務行動・意識」

・「達成思考」が強く、特性、品質、納期などに対応しようと努力する
・「専門性習得・普及」が強く、自らの経験・ノウハウを下級職に伝える

10.業績の悪い技能職の「職務行動・意識」

・淡々と仕事はこなすが、新しい発想を生み出そうという意欲に欠ける
・その日を無難にこなしていく

11.業績の良い管理職の「職務行動・意識」

・「達成思考」が強く、目標達成に立ちはだかる諸問題を解決していく
・「分析的思考」が強く、明確な方針、戦略を打ち出す
・「対人影響」が強く、上司、関連部門への一定の影響を与える
・方針を守らせることに真剣になる(泣いて馬謖を斬る...ということもできる)

12.業績の悪い管理職の「職務行動・意識」

・汗を流して率先垂範、走り回って何もかも一人でやってしまう
・部下を成長さすことがへた
・即断即決(泥縄、その場対応)
・前例や手続を重視する予測可能な安定的な行動を取る

コンピテンシーの特定方法 コンピテンシーモデル構築の方法

1.コンピテンシーモデルの構築方法 ~既存職務から~

職種を特定する(粗さ・細かさ)を決める

・例:開発職一本か、実験、研究と分けるか?

職種別の成果責任を鮮明にする

・7~9個程度で

好業績者の行動特性を明確にする

・BEI(行動インタビュー)

・アンケート集計(多面評価)

2.コンピテンシーモデルの構築方法 ~戦略からの落とし込み~

戦略からその職種に求められる成果(成果責任)を設定する

成果責任を生み出していく過程を考察しながらコンピテンシーを設定する

・一般的にどのような困難に立ち向かうのか

・特に乗り越えるべき困難は何か(そのときに発揮されるのがコンピテンシー)

類似職務コンピテンシーと比較し、確定していく(仮説として置いていく)

3.成果責任を生み出す過程とコンピテンシー ~新規開拓営業職事例~

プロセスを特定する

・電話新規アポイント(新規顧客を拡大する)

・飛び込み訪問

・商談

・契約

・アフターサービス(既存顧客の満足度を高める)

プロセスに立ちはだかる困難とコンピテンシー

・冷たい、キツイ断り  → 自己信頼(自信)
・値引き交渉を受ける → 対人影響
・数人に一人はキャンセルされる → 自己信頼(自信)

4.成果責任を生み出す過程とコンピテンシー ~人事企画スタッフ職事例~

プロセスを特定する

・人事戦略の企画(経営戦略達成へ貢献する)

・人員、能力開発、組織風土改善等の詳細計画策定

・遂行状況のレビュー

プロセスに立ちはだかる困難とコンピテンシー

・経営陣からの過大な要求 → 概念形成

・視野狭窄で企画案が行き詰まる → 情報収集

・ラインからの反発  → 自己信頼(自信)、組織理解

5.成果責任を生み出す過程とコンピテンシー ~能力開発スタッフ職事例~

プロセスを特定する

・能力開発体系の企画(人事戦略達成へ貢献する)

・能力開発プログラムの企画、導入

・社内トレーナー

・遂行状況のレビュー

・プロセスに立ちはだかる困難とコンピテンシー

360度多面評価、コーチングの必要性とそのタイプ

1.コンピテンシー強化における多面評価、セルフコーチングの必要性

コンピテンシーの特長

・強いコンピテンシーは自覚されない(強い本人にとっては当然)

・弱いコンピテンシーは具体的認識が薄い

・漠然とした「苦手意識」

・対象や場面が特定されていない

・他者からの直接的な批判には過剰反応

・性格や人格を攻撃されている、と感じてしまう

・直属上司からの指摘だけでは、「またいつものことか」で終わってしまう

・多面評価とコーチングが大切

2.アンケート集計方式の360度評価とは

長所・短所

・言いにくいことも点数なら付けられる

・政略的意図をもって評価する人も出てしまう

・手軽である

使用目的

・能力開発、研修用の資料に

・採用や配置、アセスメントの資料として

3.職務評価委員会の進め方

中間管理職は経営陣(3人程度)を相手に

・「目標」と「目標管立案の背景」を発表する 15分程度

・質疑応答を 15分程度

・一般社員の場合は、部や本部、事業部のリーダーの前で発表させる

・効果 ~目標達成への動機付け、多面評価、頭の整理~

4.プロジェクト・レビュー・ミーティングの進め方

・一人一人に発表させる
・明るく前向きに
・可能な限りオープンに
・最終評価の責任はリーダーが持つ
・効果 ~多面評価、頭の整理~

管理職強化研修の進め方

1.「管理職向けコンピテンシー強化研修」の特徴

性格ではなく、行動変革に焦点

・性格は変えにくい(プログラムは強烈な反発がある)

・「これは私の性格だから」では終わらせたくない。顧客や組織のために、役割行動・意識を引き出していく

・一般論ではなく、自分の行動・意識に焦点が当たるため、効果が高い

・職場の風土が良くなる(風通し)

2.「視点の切り替え方」を指導する

・短期(目先) ←→ 長期
・抽象的 ←→ 具体的
・現実的 ←→ 理想的
・悲観的 ←→ 楽観的 ←→ 最悪の状況
・結果 ←→ 原因
・自分 ←→ 相手(お客様、部下、上司等)
・他律的(指示待ち)←→ 自律的(主体的)
・総合的 ←→ 分析的

3.日常的なコンピテンシー強化方法

成果責任とコンピテンシーの関係を理解させる

階段を示してチャレンジさせる  自己信頼の事例

・失敗を自分の性格のせいだと決めつける(レベル1)

・失敗と自分の性格とを切り離して考える(レベル2)

・合理化する(レベル3)

・冷静に分析して次に生かそうとする(レベル4)

・イントラネット、インターネット、名刺サイズのコーチング・カードなどで視点・行動を切り替える

・視点・行動を強化する場面を確保させる

・管理システム、情報システム

・発表会、電子メール

文責:田辺和彦

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