目標設定ヒント
「アシスタント職」の目標ヒント
事務職という表現を使っていると、その人達は「事務」をしていれば良い、というように仕事を狭く捉えがちです。ですから「これは!」と思うような目標が上がってきません。毎年、同じように事務の正確さを向上するコピー枚数の削減・事務用消耗品の削減などの定型的なテーマが上がってくることになります。
「事務をする人」という捉え方ではなく「アシストする人、その為の事務もする人」という捉え方の方が実態に近いし、やり甲斐も湧いてくるものです。営業関係のアシスタントは営業をアシストしているし、開発関係のアシスタントは開発をアシストしている、というように捉え直していきましょう。
目標のウェイトの置き方『ウェイトの基準は?』
目標の合計が100になるようにウェイトを置く組織の場合、どういう基準でウェイトを置くか、という問題で迷うことがあるはずだ。ウェイト算出の基準は、2つある。
高評価を望む社員が立てる『カバー領域の広い曖昧な目標』とは
評価される立場からすると次のような心情になる。
総務課で人事を担当している社員、山田君を想定してみよう。
彼の仕事の領域は、採用、社員教育、福利厚生、給与。
会社としては、今期は「採用強化」と考えている、と仮定する。
目標が4つまでと制約されている中で、山田君的は採用に関わる目標には時間をかけるのだが、他の仕事も沢山やっているのだし、そちらも評価して欲しい。
だから次のような目標を上げてくる。
目標設定は『相撲の立会い』と同じ。お互いが踏み込まないとお互いのためにならない
目標を設定するにあたっては、上司からの指示を待つ、というような受身の態度ではいけません。上司の方針や目標を無視しなさい、自分の考えを押し通しなさい、と言っているわけではなく、良い目標にしていくためには、上司と部下とのコラボレーション(協同)が大切だ、と言いたいのです。
共同目標の活用の薦め・その注意点
行き過ぎた個人主義的な目標管理は、メンバーを精神的に追い詰める傾向を生む。チームワークがおろそかにされ個人プレー、スタンドプレーが横行する。だから共通目標もあってよいと思う。
チーム全員がすべて同じ目標、というのではない。チームのAさんとBさんは、今期たまたま、あるひとつの目標を共有する、というイメージだ。
その際に注意しなければならないのは「ぶら下がり現象」だ。Aさんがほとんど一人でやってBさんは何もしなかったのに目標は達成された、というケースだ。
高い目標には失敗の危険性がある。だが、それに取り組まないと成長はない
困難度の高い目標に取り組む、ということは失敗する可能性も高まることになる。
だが、チャレンジしない人や組織には、成長はない。
民間企業なら、チャレンジする競合他社に置いて行かれる。
自分自身の成長のために、と考えて高い目標に取り組もう。
目標に目的や夢、背景をどう表現するか?
目標シートにはスペース的な制約がある。
そのため目標は、無機質で味気ない表現になりがちだ。
例えば「××に起因する入力ミスを3割削減する」という目標を立てた時には、その背景や目的など「志すところ」はイメージできている。しかし数ヵ月たつと目的や背景、志が消えてしまって、やるべき事柄、ノルマとして目標のイメージだけが残る。
能力開発目標は、できるだけ『仕事』で表現する
能力開発目標は、できるだけ「仕事」で表現しましょう。
例えば「Word修得」や「excelをマスターする」という目標は、仕事に関係する事柄で表現します。「excelをマスターする」といっても、ソフトウェアは奥深く、プロのソフト開発者が作成するプログラムまでexcelで作れます。
管理職は、部下が目標を立てやすいように考えて自分の目標を立てる
管理職の目標があまり抽象的だと部下が困る。かといって、あまりに小さな目標、具体的すぎるものだと部下が目標を作りづらい。
例えば6名の東北営業所長で考えてみよう。
部下には営業職が4名、サポート担当2名(宮城担当、全域担当)営業アシスタント1名がいるとする。
地下三階の具体性を持った目標を
目標のテーマすなわち「何を」という部分が、漠然としているものが多い。
例えば「生産性を向上する」では良くない。私は、この表現の大きさを「地上一階」と例えている。
それは「どの部分の生産性なのか」を特定したい。
「○×製品群の返品作業の生産性」という感じだ。
この事例では「製品群」で「地下一階」に、「作業内容」で「地下二階」に下ろしている。
公平な評価につながる『公平な目標数値』とは? - 特定ターゲットの営業職 -
特定のエリアや特定の顧客を担当している営業職の場合、そのエリアや顧客の状況によって営業目標の困難度が変わってくる。お客様が上向きである担当は、高い数値が期待できるはずだ。しかし逆の場合は、同じ数値では達成が困難になる。
結果そのものを追わず原因を目標化できる事例(医療現場より)
医療ミスは死亡という最悪のケースにつながる危険性を秘めている。だからといって死亡事故0件を目標に掲げるわけにはいかない。永遠のテーマであり、当然のことであり、でもいつしかスローガンに堕する危険性を秘めている。
医療現場でも安全管理の取り組みとして、ヒヤッとした事例、ハッとした事例を調査し公表し始めているようだ。
スローガンをただ闇雲に唱えるよりも現状の危険性をしっかり把握し、その改善を目標化できれば少しずつでも事故は減っていくに違いない。
0か1かの目標(ゼロイチ目標)は、原因を掘り下げて目標に
0か1かの目標(ゼロイチ目標)は好ましくない。
<好ましくない理由はコチラ→ ゼロイチ目標:その2 ゼロイチ目標:その1>
ゼロイチ目標になりそうなものは、原因を掘り下げて目標にする。
ゼロ(0件)や1(100%)の目標は好ましくない。その2
「100%実施」、「完遂する」などの目標は好ましくない。
できればそのような表現を避けたい。
もしくは表現上の問題ではなく、違う種類の目標を掲げた方が良い場合が多い。
なぜなら「100%達成」を掲げなければならない事柄(テーマ)は「本来やるべきルールになっている事柄」を掲げていることが多いからだ。
ゼロ(0件)や1(100%)の目標は好ましくない。その1
ゼロ(0件)や1(100%)の目標は好ましくない。できればそのような表現を避けたい。なぜなら「ゼロ(0件)」や「100%達成」を掲げなければならない事柄(テーマ)は、ミスが発生した時点で終わってしまうからだ。
来年度にミスをなくすために、実際には地道な作業が続くのだろうが「気分的には終わった」感じになってしまう。
「よい目標」に変えていった事例
目標には「何を」「どの程度」「いつまでに」の3要素が必要だ。「整理整頓を徹底する」では何かが不十分だ。「何を」が漠然としている。「整理整頓する対象」を具体化、つまり分けて明確化する必要がある。
「どの程度」が記載されていない。できれば数値化して明瞭にしたい。「いつまでに」も記載されていない。この部分を抜くと「期末までに」という表明だと見なされる。
レベルの高い目標に取り組む意義
高い目標に取り組む為には、自分自身を成長させる必要が生じる。高い目標は、組織の成長や顧客満足の向上をもたらす。だから高い目標に取り組んだほうがよい。
※非現実的な高すぎる目標レベルも好ましくない。説明は近い将来、別のページで。
■目標管理ヒント集はこちらへ
文責:田辺和彦
目標の候補(ネタ)は、どこにある?
目標を考えるとき、3つの方向からネタ(候補)を考えて見ましょう。
1. 上から ⇒ 上のほうからの指示や方針(上司の目標、所属組織の方針)
2. 地上から ⇒ 地上に落ちているゴミ(発生している、あるいは発生しそうな問題)
3. 下から ⇒ 地下に脈々と横たわる水流(自分の職務上、期待されている事柄)
具体的なテーマがなぜ良いのか?
具体的な目標は、やり甲斐、集中力、戦略的思考力を高めます。
抽象的な目標は、次の2点で好ましくありません。
上級管理職向け目標管理のヒント
上級管理職が、一般社員と違う点は何でしょうか。
部下がいるということであったり、ある程度の経費支出が認められていることであったり、また活動の自由度が高いことであったりすることではないでしょうか。
経営資源を与えられている分、成果をコントロールしやすいポジションにあり、階層がトップに近ければ近いほど、目標も最終成果に近いところまで上げられるポジションにあるともいえますし、成果を上げられて当然なポジションにいるともいえます。
最終成果とはどういったものでしょう? 以下のようなものが考えられます。
目標に必要な3つの要素とは?
「目標」には以下の3つの要素が必要だ。
1.テーマ(何を)
2.どの程度(到達レベル)
3.いつまでに(期限)
自分自身が成長する目標とは?
「自分自身が成長する目標」とは何でしょうか?
それは自分の能力を超えるような目標、少し努力しなければ達成できない目標です。肉体でたとえるなら「ストレッチ」です。少しキツイが終わった時に、爽快感、達成感が残るような目標のレベルです。
よい目標とは?
「よい目標」とは何を指すのでしょう。
それは、なぜ目標管理を行うのか、ということに関係します。
目標管理の目的は、通常は以下の3つです。
① 能力・意欲を開発していくこと
② 組織の目標や戦略を実現すること
③ 人事評価の一助とすること
ですから「よい目標」の条件とは、次のようになります。
開発・技術職向け目標管理のヒント
開発職には、次のような成果が期待されていることが多いです。
・開発テーマを達成する
・納期を確保する
・業務の工数を短縮する
・コストを削減する
・製造段階での作業性および作業品質を確保・向上させる
・技術ノウハウ・業務システムを革新、標準化する(体系的に蓄積し、全員が容易に活用できるようにする)
なかでも重要な成果は「開発テーマを達成する」ということです。しかし、これを営業の予算と同じく、目標とすることは好ましくありません。自主性を入れにくいからです。
部下をその気にさせる目標とは
目標が無機質で味気ないものであっては、決してメンバーはその気にはなりません。たとえ貴方が無機質な目標や課題をノルマとして与えられていたとしてもです。そのノルマに夢や希望、達成イメージを加えて表現することがリーダーやマネージャーの大切役割なのです。
NHKで放送されている「プロジェクトX」によると、ホンダCVCCエンジンを開発したプロジェクトチームのリーダーは「子供たちに青い空を残そう」と表現したそうですし、ホンダの創設者である本田宗一郎氏は「東名高速で100台抜ける車を作ろう!」と技術者たちを激励したと言います。『部下の心に響く言葉で、メンバーをリードする』ということがリーダーには求められるのだと思います。
達成レベルを数値で表現するには
達成レベルを数値で表すことほど、わかりやすく説明できる物はありません。
これを利用しない手はないと言えます。
どのような数値を使えばよいのでしょうか。以下のようなものが代表的ですが数値で表す場合、数字にやたら苦手な人間が存在することを忘れてはいけません。
簡単明瞭・一目瞭然でいきましょう。その方が説明も簡単なうえ、時間を取りません。
・金額 → ○△売上、利益
・頻度(件数、回数、個数)→ クレーム件数、返品件数、接触件数、棚卸回数、○△研究会開催数
・率 → 利益率、改善率、納品率、回転率、効率
・時間 → 処理時間、リードタイム、何時までに(納期)、残業時間
・点数 → 満足度、品質スコア、安全スコア
・スペース → 面積、容積、距離など
スタッフ職向け目標管理のヒント
・経営計画達成に貢献する ・担当業務の生産性を向上する ・会社全体の生産性向上を支援する ・担当分野の関連コストの低減に貢献する ・顧客や取引先からの信頼度向上に貢献する ・経営諸資料の納期・品質を改善する ・経営陣、ライン担当者からの信頼度を向上する ・担当分野の諸制度の構築、改善に貢献する
これら成果は数値が難しいものが多く、また自分達の働きがすぐに結果となりかえってくるものではありません。
スタッフの働き → ラインや経営陣に良い影響 → 業績向上、という間接的な影響の与え方でなってきます。気をつけないと「やったようなやらないような」という目標になりやすく「目標を達成して何が良くなったのか」という曖昧なものになりやすいのです。
営業職向け目標管理のヒント
・売上、利益予算を達成する
・お客様の満足度を高める
・新規のお客様を増やす
・新製品、新サービスを普及させる
・営業活動を効率化する(訪問・接触件数を増やすなど)
・回収を効率化する(回収遅れを出さない、回収条件を良くする)
経営計画と目標管理の関係について
部門長は担当部門の経営計画と部門長個人の目標管理シートも作成する、という組織の場合、両方のシートに同じようなことを書いているのでは目標管理シートの意味がないのではと考える人も多いようです。
それぞれの違いですが、次のように整理できると考えられます。