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20代が求めるキャリア像と上司像 ~採用・育成で企業がすべきこと~

HRプロの調査によると、20代の72.3%が「一つの会社で長く働きながらスキルアップしたい」と回答しました。

一方で「嫌いな上司のタイプ」として最も多く挙がったのは、"成果を強く求めすぎる成果コミット型"です。

この結果は、若手が組織に何を求め、何を敬遠するのかを端的に示しており、採用や育成に大きな示唆を与えます。

若手人材が求めるキャリア像

近年の調査によると、20代の若手社員が「長く働きたい」と感じる理由の中で最も多かったのは、「スキルアップ・キャリアアップができるから」(43.3%)という結果でした。

この数字が示すのは、単なる"安定志向"ではなく、「安定した環境の中で、自己成長を継続できる職場」を求める姿勢です。彼らにとっての"安定"とは、変化の少なさではなく、挑戦と学びの機会が確保されていることを意味します。

若手世代は、組織に依存してキャリアを築くというよりも、自分自身の市場価値を高め、将来的にどこでも通用する力を身につけたいという意識が強い傾向にあります。

そのため、企業には次のような取り組みが求められています。

体系的な研修・育成制度

OJTだけに頼らず、スキルレベルや職種に応じた計画的な教育体系を整備することで、「自分は成長している」という実感を持たせることが重要です。

明確なキャリアパスと成長実感

将来どのような役割やポジションを目指せるのか、どのスキルを身につければ次のステップに進めるのかを可視化することで、目標に向かうモチベーションが高まります。

安心して挑戦できる職場文化

失敗を許容し、チャレンジを後押しする文化がある職場では、若手が主体的に動き、リーダーシップを発揮しやすくなります。

こうした環境づくりは、単に離職防止につながるだけでなく、「自ら成長を設計できる人材」を組織内で育てることにもつながります。結果として、次世代のリーダー候補を内側から育成する基盤にもなっていくのです。

敬遠される「成果コミット型」上司

一方で、若手社員が「苦手」と感じる上司像の上位には、"成果至上主義で部下を追い込むタイプ"が挙げられます。これはいわゆる「成果コミット型上司」と呼ばれるもので、短期的な結果を重視し、数字や目標達成を強く迫るマネジメントスタイルです。かつては「できる上司」「結果を出すリーダー」として評価されることも多かったこのタイプですが、近年の若手世代からは敬遠される傾向が顕著です。

その背景には、心理的安全性への意識の高まりがあります。Z世代・ミレニアル世代にとって、仕事は単なる成果競争の場ではなく、「自分の可能性を伸ばすフィールド」でありたいという価値観があります。成果を重視するあまり、失敗を恐れる風土が強まったり、上司との対話が"詰問"に近くなったりすると、彼らは「この環境では本来の力を発揮できない」と感じてしまうのです。

重要なのは、若手が「成果そのもの」を否定しているわけではないという点です。むしろ彼らは、自らの成長を通じて成果を出すことに強い意欲を持っています。ただし、その過程で「上司からの伴走」や「納得感のある目標設定」を求めているのです。

つまり、現代の若手が理想とする上司像は、

といった"伴走型リーダー"です。

「成果を出すこと」と「人を育てること」を両立できるマネジメントが、今後ますます重要になっていくと思われます。

採用・育成への示唆

若手のキャリア観や上司に対する期待の変化は、採用や人材育成の在り方にも大きな影響を与えています。単に「やる気のある若手を採る」「成果を上げる人材を育てる」という発想だけでは、長期的な定着やリーダー候補の育成にはつながりにくくなっています。ここでは、企業が取るべき3つの方向性を整理します。

1. 採用メッセージの見直し

近年の若手は、「挑戦できる」「成長できる」といった前向きなキーワードに惹かれつつも、実際には"安心して挑戦できる環境"をより重視しています。「挑戦」と「安心」はセットでなければ響かない時代です。

2. 育成制度とキャリア対話の強化

若手が「成長を実感できる職場」と感じるには、研修制度だけでなく、上司との定期的なキャリア対話が欠かせません。

目標設定や評価のタイミングだけでなく、半年ごと・四半期ごとに「今後どんなスキルを伸ばしたいか」「どんな役割を担いたいか」を話し合う場を設けることで、組織としての支援姿勢が伝わります。

さらに、研修・OJT・ジョブローテーションなどを体系的に可視化し、キャリアマップとして示すことで、若手が将来像を描きやすくなります。

この「見える育成支援」が、モチベーション維持と定着に直結します。

3. 管理職研修の刷新

若手が求めるのは、「成果を出す上司」よりも「成長を引き出してくれる上司」です。管理職に対しても従来の"数値管理中心"の評価から、部下の育成・支援姿勢そのものを評価軸に組み込むことが重要です。

たとえば、人事評価制度の中に「部下のキャリア支援」「心理的安全性の醸成」といった項目を設けることで、上司自身の行動変化を促せます。これにより、「成果を追わせる」から「成果を一緒に創る」文化へとシフトし、若手のエンゲージメントや定着率の向上にもつながります。

このように、若手が求めるリーダー像を理解し、それを採用・育成・評価の仕組みに反映させることが、次世代リーダーを内部から育てる最短ルートといえるでしょう。

適性検査の活用ポイント

適性検査を活用することで、若手社員のキャリア志向や上司との相性を客観的に把握しやすくなります。面接や履歴書だけでは見えにくい「働き方の傾向」や「価値観の方向性」を数値化できるため、採用後のミスマッチを防ぐうえでも有効です。

たとえば、検査結果からは次のような観点を明確にできます。

このように、適性検査を単なる"選考ツール"としてではなく、入社後の育成・配置・キャリア支援のためのデータ基盤として位置づけることで、若手の早期離職防止やエンゲージメント向上にもつながります。

個々の特性を踏まえた「個別最適な育成」が、次世代リーダーを育てる企業文化の礎となるのです。

まとめ

今回の調査から明らかになったのは、20代は「安定」と「成長」を両立できる環境を求めているということ、そして成果至上主義的なマネジメントが敬遠されやすいという現実です。採用活動では、制度や待遇の魅力だけでなく、「安心して挑戦し、成長できる文化」をどう伝えるかが鍵になります。

さらに、適性検査や育成制度を活用し、若手のキャリア志向と上司スタイルのミスマッチを防ぐことが、定着率とパフォーマンスの向上につながります。

若手が安心して力を発揮できる環境を整えることこそが、次世代リーダーを内側から育てる最大の投資といえるでしょう。

文責:田辺顕

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