360度フィードバックでフリーコメントをつけるべきか? ― フリーコメントのメリット・デメリット整理 ―
360度フィードバックを設計する際、「フリーコメント(自由意見欄)を書いてもらうかどうか」は、よく相談されるポイントです。
フリーコメントには、"生の声"が集まる一方で、運用や受け止め方に注意が必要です。ここでは、人事・人材開発担当者向けに、メリット・デメリットと設計のヒントを整理します。
フリーコメントをつけるメリット
生(なま)の声が取れる
選択式設問だけでは見えにくい、職場の具体的なエピソードや文脈が伝わり、より具体的な施策や満足度など知ることができます。また、数値では表現しにくい「日頃の関わり方」「その人らしさ」のコメントが集まりやすくなります。
対象者にとって励みになりやすい
ポジティブなコメントが集まると、「自分はこういうところを評価されている」という実感につなががります。スコアだけよりも、「具体的に何が良いのか」が言葉で伝わるため、行動維持・強化のヒントになります。
回答者も気持ちの整理がしやすい
自由に意見を書ける場があることで、「普段言えないことをきちんと伝えられた」という納得感が生まれやすいです。設的なフィードバック文化づくりの一歩として機能する場合もあり、メリットの一つです。
フリーコメントのデメリット・注意点
回答者の時間的負荷が大きい
1人あたりコメント記入に約10分かかると仮定した場合、対象者の数だけコメントを記入するため回答者の負荷が大きくなります。たとえば、
対象者10人 × 15分 = 約2時間分の作業
上記のように、対象者10人に対して作業時間が2時間回答する場面もあります。忙しい現場では、「負荷感」から回答協力そのものが下がるリスクもあります。
定のコメントに引きずられやすい
悪印象な一文に意識が集中し、過度な評価に持ち込まれやすく、人事や上司の評価イメージを過度に左右してしまうこともあります。
内容によっては、反発や落ち込みを生む
厳しい言い方のコメントや、人格に踏み込んだ指摘が書かれてしまうと、対象者が感情的に反発したり、必要以上に落ち込んだりするケースもあります。特に、受け止める側が「成長の材料として見よう」という前向きな姿勢になっていない場合、コメントが「励み」ではなく「ダメージ」になってしまう可能性が高いです。
対象者の姿勢によって、効果が大きく変わる
フリーコメントが有効に機能するのは、対象者が「自分の強み・課題を知り、今後に活かしたい」という積極的な精神で分析に向き合えるときです。一方で、「どうせ評価されても変えたくない」「会社に言われたから受けるだけ」という消極的な姿勢だと、コメントを読んでも行動変容につながりにくく、かえってモチベーション低下につながる場合もあります。
どんな目的のときに、自由意見欄をつけるか?
自由意見欄をつけるのに向いているケース
- 管理職やリーダーの「強み・らしさ」を言語化し、今後のリーダーシップ開発につなげたい。
- フィードバック面談やコーチングの素材として、具体的エピソードを使いたい。
- 組織として「フィードバックを言葉で伝える文化」を育てたい。
自由意見欄を控えた方がよいケース
- まずは360度フィードバックに慣れてもらう段階で、回答負荷をできるだけ下げたい。
- 数値・傾向の把握が主目的で、集計・分析のしやすさを優先したい。
- 対象者がフィードバックに不慣れで、コメントの受け止めに不安が大きい。
実務での設計・運用のヒント
自由意見欄を設ける場合は、次のような工夫も有効です。
記入は「任意」にする
全員必須にせず、「書ける範囲で」「伝えたいことがあれば」という設計にすると有効的です。
フリーコメントを設けない
そもそもフリーコメントを設けないのも1つの手法であり、数値だけを見て人材開発や組織運用に活用するのも一つの手です。
文字数・項目数を絞る
長文を求めすぎず、「1〜2行でも可」と明記することで、回答しやすくすると、回答者の負担も軽減でき、回答がスムーズになります。
コメントを微調整する
コメントに記載されている評価を左右されると想定するも一部表現を柔らかく編集を行い、フィードバックの場で対象者の心情を揺さぶらずにすることも有効的な方法です。批評価者の心を守ることも重要です。
※株式会社ジィ・ディー・エルではコメントの編集を弊社に任せていただくことも可能です。
まとめ:目的に合わせて「自由意見欄」を設計する
360度フィードバック(多面評価)における自由意見欄(フリーコメント)は、生の声が得られ、対象者の励みになる「強力な材料」にもなり得えます。一方で、回答負荷や、特定の意見への偏り、対象者の心理的ダメージといったリスクも持っています。「何のために360度フィードバックを行うのか」、「対象者は、フィードバックをどの程度前向きに受け止められる状態か」この2点を踏まえたうえで、フリーコメントをつけるかどうか、どのような形でつけるかを検討していただくと、より目的に合った360度フィードバック設計がしやすくなります。
株式会社ジィ・ディー・エルではフリーコメントや運用についても相談を受け付けております。ぜひご利用ください。
文責:田辺顕
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