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成果主義人事制度が何故上手くいかないのか? ~7つのチェックポイント~

1.共感できる「理念」「人事哲学」が明示されていますか?

総額人件費を適切に管理したいという経営管理上のニーズから、「メンバーにとっての利益、効能」を打ち出せないことになってはいないでしょうか? 「理念」「人事哲学」の例をご紹介しましょう。

・失敗を隠さず、学びあい、成長の糧とできる組織を
・ポータブル・スキル(他者でも通用する能力)開発を支援する
・「仕事から得られる喜び」を最大限に
・顧客と共に成長する組織作り
・一人の力を皆のために、皆は一人のために One for all,All for one.
・個性を尊重しあい、個性を生かしあう組織に向かう
・「できる」「すべき」から「を残したい」という発想へ
・自己実現を支援する
2.メンバーに目的、理念は伝わっていますか?

パンフレットの配布や導入説明会だけでは、充分にその真意・目的が伝わらないことが多く、結果として、漠然とした期待感や不安感を持って制度に取り組んでいる組織が多いです。制度の目的が理解されていない組織で聞く声をご紹介しましょう。

・目標を立てるのは人事考課をするためだけなのでは?
・人事考課フィードバックは、社員の納得感を高めるためだけ...
・成果主義は、成果を出さないと組織が立ち行かなくなるからではないですか?
・人事考課は処遇を決定する為のものなのでは?
・360°評価は、正しい評価ができる管理職がいないからでしょう

上記のような声を聞かない為にも、あらゆる機会を通じてしつこく、何度も目的や理念を啓蒙していきましょう。社内報、イントラネット、e-Learning、表彰制度、ワークアウト、マルチメディアに伝えていきましょう。目的・理念は理解できなくても、方法論さえ理解できれば形式的に制度は運用できてしまいます。だからこそ危険といえます。

3.管理職に過度な期待を寄せていませんか?

メンバーへの説明は最小限にとどめ「後は管理職にお任せ」という何ともお粗末なケースが多く見受けられます。そんな適切でない組織の例をご紹介しましょう。

・管理職自身が目標立案に不慣れで、部下目標に関与できるスキルを持っていない
・管理職に制度を徹底する時間を与えていないので、消化不良な管理職がメンバーに誤った立案などを伝えている
・マネジメント能力がもともと期待できない人をそのポジションに付けているという最悪パターン
・人事部では距離が遠すぎて心理的に全く理解できないし、上級管理職では一般管理職とさほどレベルが変わらなく、サポートしてもらったところで効果的な結論が出てこない等、管理職をサポートできる仕組みが整っていない
4.制度に沿って大胆に運用できていますか?

新しい制度で全員が高い処遇を受けるなどということは、まずありえません。従来に比べれば、という考え自体が間違っているのです。リスクに怯えて適切に運用できない組織が多く、制度を体現する実例は本当に出ているのでしょうか? 怯んでしまいやすい例をご紹介しましょう。

・降格者がでる、減給者がでる
・2階級昇進者を出すと、同年次入社組みの優秀な人事が....
・役割を大きく変える方が、組織の為にも本人の為にも役立つはずだが、本人は落ち込んでしかうかな?
5.「成果主義」のはずが「実績・結果主義」に陥っていませんか?

もともと「仕事を成果から定義して考える」という発想が定着していません。困ったものです。「仕事とは○○すること」という手続き、作業で仕事を理解している人達が圧倒的です。勢い、成果イコール財務的業績(売上とか利益とか)という実績・結果主義になってしまうのです。成果につながる効果的な実例をご紹介しましょう。

・「成果」という観点から記述した職種別の職務記述書を整理し教育する
・成果主義という観点から、上司が頻繁に質問を投げかけてみる
・表彰制度、社内検定、感謝状などで成果意識を喚起する
・PDSサイクルをきちんと回す時間を確保させる(Planにプラス2、Seeにプラス1割の時間をかけてみる)
・Task決定時に目的感を想起させる為にも、「ミッション・目標」を携帯させ、あるいはイントラネット上で常に確認してからスケジュールを考える習慣を付けさせる
6.メリハリ、強弱、優先度がつけられるものになっていますか?

制度全体を大きく変える時には何らかのしっかりとしたコア制度を特定し、そこをまず固めなくてはなりません。メリハリをつけないと制度導入の効果が現れるまでに時間がかかり過ぎてしまいます。メリハリをつけたよい事例をご紹介しましょう。

・目標管理の「目的」をしっかり立て、まずは目標立案研修で徹底する ・人事考課のフィードバックを徹底し、社外のコーチをつけ効果的なフィードバックを行う
・コンピテンシー開発をまず優先し、その後少しづつ人事考課に取り組んでいく
・360°評価は、能力開発のために実施するというコンセプトを頭にたたき込む
7.実現と遊離しすぎていませんか?

組織風土、経営陣・管理職の力量、社員の適性・能力などを見極めていますか? 「すべき」「自分ならきでる」、だから「しよう。させよう」という発想に陥っていませんか? リスクというものを考慮していますか? 現実と遊離している例をご紹介しましょう。

・社員の評価結果が、自分の知らないところで調整される。何故なら「それを社員から聞かれても困る...」などという管理職が多く、結果的に何のフィードバックにもなっていない
・評価した点、来期にここを強化して欲しいと思う点など、しっかりと話し合うところから始めようなどという指導に欠けている
・目標を作る際に、まず社員に作らせ管理職自身の目標作りが最後になっているなどというお粗末な対応

文責:田辺和彦

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