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仕事の状況が見えるようにしよう。遠藤功著『見える化』が面白い

近年、仕事が複雑化している。各人の動作を見ていても、何をしているのかわからない。

筆者がコンサルタントになった頃は、まだそうではない職務を多かった。

でもその頃から、今日のような兆候があった。工場の作業現場では、仕事を見ていれば、何となくつかめた。しかし設計や企画をしている人たちは、頭の中で仕事を進めていることが多い。見かけは、タバコをすって休憩中。でも頭の中は集中モード、ということがよくあった。

今後も、この傾向は続くだろう。各人の体の動かし方を見ていれば、仕事が管理できる、という状態ではなくなる。だから見えるようにしなければならない。

このような問題意識に根ざした、実践的でわかりやすい書籍だ。事例も豊富だし、実務上の勘所も押さえてある。お勧めです。

以下は、私がアンダーラインを引いた「見える化」の「ここ!」という箇所です。

「見せよう」とする意思
「見える」ようにする知恵
その二つがなければ「見える化」は実現できない。

「現場力」とは現場の「自律的問題解決能力」
強い現場を持つ企業では、さまざまな問題に対して現場が当事者として対峙し、自ら障害を乗り越えて解決しようとする。一方、並みの現場は、ルーチンをこなすことだけが自らの職務と限定し、問題にはあえて触ろうとしない。問題はほかの誰かが解決してくれるだろうと思っている。ひどい現場になると、問題自体を隠そうとさえする。

「見える化」とは「見せる化」
仕組み・仕掛けだけでは実際には「見える化」は機能しない。
多くの場合「見える」ようにするためには、「見せる」といる意思や行動が必要となる。

トヨタ生産方式の生みの親である大野耐一元副社長は、「『データ』はもちろん重視するが、『事実』を一番重視している」と語っている。

「犯人探し」のための「見える化」には賛成できない。すぐ「犯人探し」を始めるような未成熟な職場でトヨタのような「見える化」を行えば、職場は瞬く間に崩壊してしまうだろう。


東洋経済新報社 見える化 著者:遠藤功

文責:田辺和彦

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